文:いばらきeスポーツ産業創造プロジェクト推進協議会 事務局 小野 さおり
2021年1月22日,「第4回いばらきeスポーツアカデミー」を開催しました。
昨年10月の第3回は,新型コロナウイルス感染防止のため初めてオンラインでの開催にしたところ,県外からも多くのご参加をいただき好評だったため,今回もオンラインでの開催となりました。
※第1回~第3回の詳細は,活動実績ページよりご覧いただけます。
今回も県外を含め,約50名の方々がご参加くださいました。
第4回のテーマは「地域企業とeスポーツ」。株式会社三笠製作所代表取締役の石田繁樹氏と,PUBG MOBILE企業懇親戦主催者のChilling Charo氏を講師にお招きし,eスポーツ実業団の結成から企業対抗eスポーツ大会の企画・運営内容など,中小企業のeスポーツへの取り組み方についてご講演いただきました。
石田氏は「KYANOS結成から現在まで ~eスポーツチームの創設による効用と課題~」をテーマに,eスポーツ実業団「KYANOS」の結成までのお話や,三笠製作所が目指すスポーツ産業と製造業のeスポーツ化について紹介されました。
eスポーツ業界初の実業団チーム「KYANOS」は,2018年の夏に設立。ウイニングイレブンで世界チャンピオンの座を狙うために日々練習に励み,昨年開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020 KAGOSHIMA eFootballウイニングイレブン部門」では,所属の「かつぴーや」選手が見事優勝を果たしました。
実業団チームの選手は,半日はeスポーツの練習、半日は通常業務を行ない,選手引退後も社員として雇用は継続されます。引退後のセカンドキャリアも三笠製作所が受け皿となる体制ができているのです。
実業団チームを創設して得た効果は数多く,その中でも社内における集団凝集性(集団が構成員を引き付けて、その構成員を集団の一員となるように動機付ける度合いのこと)が高まる可能性を強く感じられると,石田氏は話されました。
会社の事業においてもeスポーツの発展に取り組む三笠製作所。今後の目標について,フィジカルスポーツ(サッカー,野球など) や3K(きつい・汚い・危険)の仕事をeスポーツ化することにより,年齢や障害を越えて誰もが参加しやすい新スポーツにし,それを自社開発の巨大ロボットによって実現させたいと語られました。
Chilling Charo氏(以下「Charo氏」)は「地方の中小企業が今から始めるeスポーツ」をテーマに,企業懇親戦開催までのお話や中小企業のeスポーツの始め方について紹介されました。
山梨県にあるオフィス家具の錠前を専門に設計・製造している敷島金属工業株式会社に勤めるCharo(長谷川)氏は,個人として PUBG MOBILEによる企業懇親戦を主催・企画運営されています。Charo氏は第1回を開催するにあたり,全国の企業にひたすら突撃営業をかけたといいます。その結果,第3回では応募者多数のため初の予選会を開催。地上波のテレビでも紹介されるようになりました。
Charo氏は,これからeスポーツを始めようと考える企業へ向けて「費用面等,手が出しにくいと考える中小企業は,費用のかからないモバイル(スマートフォン)eスポーツを始めてみよう」とご助言されました。モバイルeスポーツによってネットワークでつながりができ,普段の仕事では会うことのない企業とも交流できるメリットがあると話されました。
また,最低限の知識で始められる大会運営のプラットフォームや,地元の強みや売りを活かした地方発信のeスポーツについてもお話しくださいました。
eスポーツ元年の2018年から約3年, eスポーツの普及にはまだ時間がかかりそうですが,今回の講師のお二人のように,地域に根差した中小企業が立ち上がることにより,少しずつeスポーツ振興に向けて動き始めていることが感じられる講演でした。
私たち推進協議会もまた,県内企業のeスポーツ振興が目標です。これを機に,より多くの企業がeスポーツに目を向けてくれることを期待しております。